9月7日 建設常任委員会管外調査(長野・富山・石川)その2
皆さん、こんにちは。
本日の早朝walkingは、朝5時に起きて善光寺さんまで、往復約5kmほどを。
宿を出て、長野駅からJR北陸新幹線で、黒部宇奈月温泉駅まで。
本日最初の調査先は「国土交通省 北陸地方整備局 黒部河川事務所」です。
藤田所長からご挨拶をいただいた後、「黒部川流域の砂防事業」について、森田副所長、山田調査課長からご説明いただきました。
「土砂災害から守る」
『普段は清らかな流れも、いったん自然の驚異にさらされると、災害となって流域を襲います。平成7年7月10日、北陸地方に停滞した梅雨前線は21日まで断続的に降り続き、黒部川上流部では大規模な崩壊が発生し、大量の土砂や流木が出し平ダムに流れ込み、湛水池周辺に約340万㎥の土砂が堆積するなど、黒部川中流域に約600万㎥もの土砂が堆積しました。
また、黒部峡谷鉄道が寸断されるなど交通網や発電・観光施設に大きな被害が生じ、昭和44年以来の大災害となりました。
黒部川水系砂防事業は、黒部峡谷固有の自然観光資源、観光施設及び発電施設等を1回の大洪水でおきる土砂災害による災害から未然に防ぐため、砂防えん堤施設等を整備しています。
昭和36年に祖母谷から直轄砂防事業に着手して以来、昭和44年に黒薙川、昭和53年に野坊瀬谷、昭和57年に小黒部谷と順次着手し、現在までに祖母谷10基、黒薙川5基、野坊瀬谷2基、小黒部谷1基の計18基の砂防堰堤が完成しています』
・黒部川流域の特殊な施工条件
黒部川流域における直轄砂防事業は、中部山岳国立公園(特別地域)に指定されている黒部奥山国有林内において実施され、工事箇所へは黒部峡谷鉄道が唯一の交通手段。
厳しい地形条件(※1)と気象条件(※2)のため、平地と同様の施工効率の確保は困難ですが、集中的な投資や効率的な施工、新技術の活用などを積極的に活用し整備が進められています。
(※1)地形条件
工事箇所への資機材運搬及び人員の移動は、黒部峡谷鉄道(観光兼用であり、輸送量が限られる)を介し、最寄駅から工事現場までは、専用に設置した資材搬入道路により実施され、大型機材については、分解しヘリコプターでの搬入となる。
資材運搬道路に面した急峻な斜面からは、落石や法面崩壊等が頻繁に発生することから、作業員の安全確保のため、日常的な維持管理の他、資材運搬道路の安全対策工事を行っている。
(※2)気象条件
黒部川流域での施工可能期間は、融雪後の5月中旬から、積雪前の10月下旬までの約5ヵ月間であるため、計画的な施工を行っている。
黒部川流域直轄砂防事業では、土砂流出災害を未然に防止するとともに、地域経済を担う上流域の観光資源及び公益施設等の保全対象を土砂災害から守る事業として実施され、上流域の荒廃が著しく優先度の高い上流支川流域を重点として砂防堰堤設備を施工し、現在、黒薙川第2号下流砂防堰堤と小黒部谷第2砂防堰堤の工事が行われています。
国直轄砂防事業は規模も大きく、計画もかなり長期。
「今後も、黒部峡谷の自然環境との調和・コスト縮減に配慮しながら砂防事業の推進を図っていきます」とのこと。
兵庫県内においても六甲山系直轄砂防事業が進められていますが、「これらの砂防事業による災害被害の軽減効果は、山麓地域の住民生活や企業等による経済活動の安定化に大きく貢献している」とされています。
今後も計画的に事業が進捗し、さらに「安全・安心」の確保が進むよう願っています。
続いて、黒部河川事務所 池田 ダム課長さんの案内で「宇奈月ダム」を視察。
洪水調整、水道・発電事業について調査を行いました。
『宇奈月ダムは、黒部川本川の宇奈月温泉中心街より約500m上流に建設された多目的ダムで高さ97.0m、総貯水容量2,470万㎥、有効貯水量1,270万㎥の規模をもつ、重力式コンクリートダムで、供水調節を始め、水道水の供給、発電を行うことを目的とし、黒部川総合開発の一貫をなすものです。
昭和45年度より予備調査を開始し、昭和49年度から実施調査を行い、昭和54年度より建設工事に着手しました。ダム本体工事は、昭和62年度に着手し、昭和63年10月には仮排水路トンネルを完成させ、転流開始に伴い本格的にダム基礎掘削を開始しました。平成5年8月に開始したダム堤体コンクリート打設は平成10年9月末に完了し、平成12年2月28日より試験湛水を開始しました。
平成13年3月に宇奈月ダムは完成し、現在はダムの管理や周辺の環境整備、水環境改善事業などを進めています』
・洪水調節
ダム地点の計画高水流量6,900㎥/sに対し、700㎥の洪水調整を行う。
・水道用水
魚津市をはじめ流域の2市2町に水道用水として1口最大58,000㎥を供給。
・発電
新たに関西電力が宇奈月発電所を建設して、最大出力20,000kwの発電を行う他、宇奈月ダム貯水池を逆調整池とする新柳河原発電所において、最大出力41,200kwの発電を行う。
・技術
宇奈月ダムは、計画高水量が大きいため大型放流施設必要になる他、流入砂量も大きいため、直轄ダムでは初めてとなる土砂を排出する排砂設備を設置している。
また、ダム堆砂の長期的な予測精度を高めることを目的に発信機付の石を投入し、排砂時に砂とともに排砂路を通り下流へ移動するかどうかの調査も行っている。
今回は特別に排砂設備について、実際にダム内部や排砂ゲート等々も視察させていただきました。
その後、立山カルデラ砂防博物館にて、菊川 専門学芸員から「立山カルデラの歴史と砂防」について説明をいただき、富山市へと向かいました。
本日は富山市泊です。
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