- 2010年10月08日(金)
平成22年度兵庫県一般会計補正予算(第1号)に対する、自民党代表質問及び答弁
第306回定例会 補正予算 質疑内容
私は、自由民主党議員団を代表しまして、5項目について質疑を行います。
質問の第1は、今回の補正予算のねらいについてであります。
現在の経済雇用情勢は、本会議での代表質問等で質されたとおり、リーマン・ショック後の世界不況から、曲がりなりにも回復してきましたが、政府発表の4~6月期の国内総生産統計によると、実質成長率が前期比0.4%、年換算では1.5%と、直前の2四半期で概ね年率4%であったことと比べると、大きく鈍化しつつあり、また、9月14日には、15年ぶりに82円台を記録するなど、急激な円高等、先行不透明な状況にあります。
本県の現在の景気動向をみますと、日銀短観における企業業況判断DIは改善の動きがみられ、一部に持ち直しの動きがあるものの、依然として、物価は緩やかな下落傾向にあり、個人消費も低迷しています。企業倒産件数も、前年同月比では減少していますが、年間倒産件数としては、依然として約700件程度のペースであり、雇用情勢も、8月の有効求人倍率0.52倍と、楽観できる状況とは到底言えません。
わが議員団としては、「まずは、景気回復を目指し総力を注ぐべき」とし、経済の再生に向け、「社会経済情勢の変化に的確に対応した経済・雇用対策の推進」を柱とした重要政策提言を行ったところであり、機動的な経済対策の充実を求めているところであります。
しかし、このたびの補正予算をみると、これは、政府が9月10日に閣議決定された、急激な円高に対応するための追加経済対策に基づくものであり、政府が措置していた約2兆円規模の経済危機対応・地域活性化予備費のうち、約9,200億円程度を活用しての、雇用創造・人材育成等の雇用対策、エコポイント制度の延長等の消費喚起対策、耐震化やゲリラ豪雨対策等の防災対策などを内容とし、事業費で9.8兆円程度の対策となっています。
政府としては、このたびの対応を緊急的な対応「ステップ1」とし、今後、国会で議論される補正予算の「ステップ2」、そして、来年度予算の「ステップ3」と位置づけていますが、明確な全体戦略がなく、一時しのぎ、対症療法的な感は否めないところです。
県においても、その予算規模は、148億円程度であり、昨年の5月補正予算が、震災以後最大の1,829億円、9月補正予算でも303億円であり、それらに比べても予算規模は小さく、その効果も議論のあるところであります。
真に求められるべきは、デフレ基調にある経済を、どう刺激し、いかに経済のパイを大きくできるのか、いかに実需要を喚起させていくかではないかと考えます。
確かに、苦しい現状においては、応急的な措置も必要であります。が、やはり、確かな明日の展望を見据えたうえで、その実現のために、有効な諸施策を講じていくことが強く求められます。
県としては、このたびの補正予算について、全体として、どのようなねらいを持ち、その効果を、明日への展望も含め想定しているのか、ご所見をお伺いします。
質問の第2は、行革の取組への影響についてであります。
現在、新行革プランに基づき、全庁あげて、行革に取り組んでいるところであります。さらに、本年度は、各職場においても、事務事業、投資事業等の全般にわたり、3年目の総点検を行っているところです。
補正予算に関しては、これまでから、行革で定めた財政フレームなど、財政的な面での、健全化指標への影響を質してきたところであり、そのたびごとに、追加対策に伴って、実質的な一般財源負担が生じないようにすることを基本に、予算編成されていると答弁されてきました。
このたびも、財源内訳では、「地域活性化・公共投資臨時交付金」や「緊急雇用就業機会創出基金」を活用されるものとなっていますが、公共事業に関して、約20億円の起債が予定されています。改めて、財政健全化指標に対して、どの程度、影響が生じるのか、確認しておくべきと考えます。
また、行革において「選択と集中」の徹底を図り、事務事業を削減していく一方で、補正予算で、事務事業が増加していくことになります。県民にとっては、大変わかりにくいものとなります。
今後とも、社会経済情勢の変化に対して、機動的に対応するべきとは考えますが、一方で、行革を行い、財政健全化にも配慮しなければならない状況であり、甚だ難しい舵取りとなっています。
今回、事務事業、投資事業を増額補正することになりますが、その結果、後年度の財政収支及び財政健全化指標にどのような影響があるのか、改めて確認したいと思いますが、ご所見をお伺いします。
次に提案された主な事業について質問します。
その第1項は、雇用問題、緊急雇用就業機会創出事業についてであります。
本事業に関しては、平成20年度1月補正において、緊急的に雇用就業機会を創出する国の交付金を原資に基金を創設し、平成23年度までの事業期間で取り組んできたものであります。昨年、平成21年度の実績は、県事業として4,467人の雇用創出があったことになっています。この数値は、依然として、高い水準にある失業率からすると、その評価は、即座には難しいところです。
そもそも、本事業は、「つなぎの雇用」であるというのが制度の創設趣旨であり、その多くが、失業者にとって、容易に就労できるような、特別の技能、あるいは資格等を必要としないものとなっています。したがって、このような財政支出による雇用は、財政支出が終われば、その雇用の継続が難しいものとなっています。ある意味、「一時しのぎ」とも思われるものです。また、このような、終期がある基金事業については、「事業効果が不十分のまま」、また「課題が未解決のまま」、終期を迎える場合など、事業の継続について、どのように対応するのかが大いに危惧されています。
その事業の設定においては、やはり、人材の育成、個々の能力アップ、明日を生きる活力に資する観点、また、今日の少子高齢社会での、諸課題の解決に繋がる観点等から、十分に検討していくべきと考えます。
雇用創出の重点分野は、「介護」「医療」「観光」「環境・エネルギー」「農林水産」「地域社会雇用」の国指定の6分野に加え、「安全安心」「生活関連サービス」「産業労働」「交流促進」の4分野が県で設定されています。
今後の事業実施に当たっては、これまでの取組を十分検証しつつ、継続的な雇用創出に繋がるよう、有効に活用していくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
その第2項は、公共事業の実施についてであります。
わが議員団としては、活力ある県土の発展を図り、県民の生活を豊かにする「ふるさとづくり」を目指した社会基盤は、着実に整備していくべきと考えております。
新行革プランに基づき改革が進められる中でも、一律にカットすることなく、「選択と集中」により、コスト縮減に努めるとともに、必要な財源については、国へ強く要望を行い、事業費を確保し、地域の実情に沿った整備を進めていくべきであります。
また、その社会基盤が大量更新時期を迎えることに対しても、その維持保全のため適切な対応を図っていかなければならないところです。
このたびの補正予算においても、県単独で、県民生活の利便性向上を図るため、問題解消に向け生活関連道路に対する「緊急対策事業」に15億円、近年増加傾向にある「ゲリラ豪雨対策」のため、「地域の緊急防災対策」に15億円が措置され、公共事業では、「農地の湛水被害等の防止対策」、約10億円等を含め、約38億円が措置されています。
このような中、農業生産活動を維持するとともに、安全で快適な農村生活を可能とさせる、農業用水路やため池、井堰等の土地改良施設の多くで、供用後、相当の年数が経過し、機能低下が生じているものや既に耐用年数を迎えているものが発生してきています。中には、農村災害の未然防止、地域住民の安全の確保から、その早急な改修が求められるところもあります。
しかし、関係団体からの要望によると、その必要な事業予算も確保されない状況と聞いております。県においても、国に強く要請するべきであり、特に、いわゆる国のひも付き補助金が一括交付金になることにより、結果として必要とされる事業費総額が減額されることがないように強く求めていくべきであります。
今後とも、真に必要な社会資本整備に向けては、必要な箇所に対応できるよう、積極的に進めていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
あわせて、予算措置後は、すみやかに、早期執行できるよう、手続き等を円滑に進めていくべきと考えますが、どのように取り組むのか、お伺いします。
その3は、有害鳥獣対策についてであります。
本対策に関しては、さる9月15日に、「緊急に措置すべき事業」として発表されたものであります。
近年のシカ等、有害鳥獣により、農林業被害の増加や被害地域の拡大傾向に対して、その防止を図るため、部局を横断する「シカ被害対策連絡会議」や、県民局単位で、「地域連絡会議」を設置し、対策を進められていること、また、サル対策についても、その重要性を認識いただいたことには、大変感謝しております。
このたびの緊急対策には、本年度からシカ捕獲目標頭数を1万頭増やして、3万頭として取り組もうとされましたが、春、夏の天候不良の影響や、目標に対する市町の予算措置が十分でないことなどで、その目標達成が困難になったことから、講じられるものがあります。
わが議員団に対しても、今年の5月での(社)兵庫県猟友会の方々との懇談の中で、捕獲目標頭数の達成に向けて、厳しい状況であるとの話を聞いております。
このたびの対策だけでは、今後とも3万頭の捕獲目標を達成することができるのか、疑問のあるところです。
有害鳥獣対策としては、その担い手である猟友会の高齢化や会員数減の実情を踏まえ、猟銃免許の更新における練習場の課題などもあり、担い手を増やしていくためには、県が主導的に、環境整備を図っていくことが必要であります。
県として、目標達成ができると考えておられるのか、必要なら、更なる対策を講じることをも、検討していくべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
第306回定例会 補正予算 質疑・答弁実績
<平成22年10月6日(水)小西議員>
1 今回の補正予算のねらいについて(知事答弁)
1 本県の経済状況は、全体として、緩やかに回復をみていますが、中小企業への波及力が弱く、急速な円高の進行により先行きに対する懸念も強まっています。このため、経済雇用情勢や県民生活の安全安心、生活関連、地域防災など喫緊の課題を踏まえまして、国の経済危機対応・地域活性化予備費を活用した経済雇用対策に適切に対応するとともに、昨年度末交付された地域活性化・公共投資臨時交付金を活用して、本県独自の対策を行うため、補正予算を編成しました。
2 補正予算の編成にあたっては、国の財源措置を最大限活用し、「緊急経済雇用対策」と「緊急に措置すべき事業」を柱に、必要な施策を実施することにしています。
3 「緊急経済雇用対策」では、第一に、雇用確保対策として、若年者を中心とした厳しい就職環境を踏まえ、介護、農林水産、生活関連サービスなど人材不足分野における雇用の創出を図り、県と市町とで、新たに約1千3百人の雇用を創出します。第二に、安全安心の確保対策として、国庫補助金と基金積立の交付金を活用し、道路、河川、農地、山地など緊急防災対策と医療施設、介護施設の耐震化、防災安全施設の整備を図ってまいります。本県独自の対策としては、①生活関連道路緊急対策、②今年度の豪雨により堆積した河川土砂の撤去や「山地防災・土砂災害対策緊急5ヶ年計画」の前倒しを行うこととしました。これら公共単独事業の実施により、地域の活性化を促進する実需要の喚起に繋がるものと考えています。
4 「緊急に措置すべき事業」では、シカ捕獲緊急対策などの有害鳥獣対策や地域子育て創生事業などの少子対策など、すでに既定予算の振替えなどで実施することとしていた事業について、事業実施の明確化を図るため、あわせて予算化し、県民生活に直面する課題に対し適切に対応しようとするものです。なお、関西広域連合の分担金につきましても計上をさせていただきました。
5 今後、補正予算の効果が早期に発現できるよう、速やかに事業着手することとしてまいります。あわせて、昨日の日銀によるゼロ金利政策による需要喚起対策にも期待するとともに、今後、国で検討されている経済雇用対策のための補正予算についても、その動向に注視し、国会に提出された場合には、直ちに本県としても予算化を急ぐなど、適切に対応してまいりますので、よろしくご指導をお願いします。
2 行革の取組への影響について(知事答弁)
1 今回の補正予算の編成にあたっては、厳しい財政状況の中、国庫補助金、国の交付金を活用して積み増した基金、元利償還金に交付税措置のある国の予備費の使用に伴う地方債等を最大限活用することで、基本的には、追加対策に伴う実質的な財政負担が後年度も含め生じないこととしております。
2 今回追加する雇用確保対策などの事務事業は、国の交付金を財源に積み立てた緊急雇用就業機会創出基金、森林林業緊急整備基金を活用することから、後年度の財政収支及び財政健全化判断比率への影響はないと考えています。
3 投資事業についても、公共事業は、国庫補助金と元利償還金に対して交付税措置がなされる国の予備費の使用に伴う地方債(約20億円)を活用してまいりますし、また県単独事業についても、国の地域活性化・公共投資臨時交付金を活用いたしますこととあわせまして、後年度事業を前倒しすることから、実質公債費比率や将来負担比率といった財政健全化判断比率への影響もほとんど生じないと考えています。
4 なお、緊急に措置すべき事業については、一般財源のほとんどを前年度剰余金によっており、残余も7月に決定された普通交付税の増額分を充てておりますので、後年度への影響はございません。
3 主な事業
(1) 雇用問題、緊急雇用就業機会創出事業について(知事答弁)
1 この緊急雇用創出事業については、リーマンショック後の平成21年2月から今年8月までに約1万6千人の雇用を確保しました。この他、離転職者職業能力開発事業により、離職者4千人に対する職業訓練を実施しています。また、緊急雇用創出事業による継続就業への効果については、平成21年度に事業が終了した者が約8,600人おりますが、このうち再就職状況が判明している約6,000人につきまして、調査をしたところ、ほぼ半数2,710人が次の雇用につながっており、厳しい雇用情勢のもと雇用状況の改善に寄与したと考えています。
2 本年2月に、緊急雇用創出事業の中に、重点分野雇用創造事業として、単なる一時的な雇用にとどまらず、介護とか、医療など、今後とも成長が期待される分野で雇用を創出し、座学研修や現場実習等による人材のスキルアップを行い、雇用のミスマッチの解消を図る事業が創設されました。本県では、今年度当初予算において、重点分野雇用創造事業を34億円計上しています。
3 今回の補正による基金積み増しも、この重点分野の事業を拡充するものであります。本県としては、特に、就業継続の効果がより期待され、少子高齢化社会に応じて高まる地域ニーズにも対応した介護分野を手厚くするとともに、保育、教育等の生活関連サービス分野などに重点的に取り組んでまいります。
4 今後とも、このような制度を有効に活用し、緊急的な雇用を確保しつつ、ニーズに応じた職業能力の向上を図り、地域の課題を解決しつつ、安定的な雇用に結びつけてまいりますので、よろしくご理解をお願いいたします。
(2)公共事業の実施について(農政環境部長答弁)
1 これまでも、農業生産基盤の強化に加えまして、農村災害の未然防止や担い手の育成のため、新行革プランに掲げております、「まもる」を基本にしまして、「つくる」から「つかう」へと重点化を図り、農業農村整備事業を進めております。
2 しかし、国の公共事業予算の削減に伴いまして、本県の農業農村整備予算は大幅に減額せざるを得ないことから、県下に数多く存在するため池や農業水利施設の改修等に支障が生じることになります。また、現在、継続中のほ場整備の完成が、今後、先送りとなるなど、計画的な整備が難しくなると予想されるところであります。
3 このため、今回、国の予備費を活用しました、ゲリラ豪雨対策等緊急防災対策事業、これを活用いたしまして、老朽化したため池の改修や取水堰の補強等、これを実施することといたしました。さらに今後、引き続き国に対して、補正予算も含めて、農業農村整備予算の増額を要望するなど、必要な予算の確保に努力してまいります。
4 一方、国のひも付き補助金の一括交付金化にあたりましては、今後も引き続き、必要とされる地方財源総額、これを確保して、地方が必要としている事業の推進が阻害されることのないよう、全国知事会などを通じて強く求めてまいります。
5 また、今回の補正予算に係ります事業の執行に関し、国庫補助事業につきましては、国では極力早い時期、具体的には10月中、これの交付をめざすと聞いております。県としましても地元調整等を急ぐなど、事業の早期執行に努め、雇用をはじめ地域経済の活性化につなげて参りたいと考えております。よろしくお願いします。
(3)有害鳥獣対策について(環境担当部長答弁)
1 有害鳥獣対策につきましては、本県の農山村の現状を踏まえまして、この度、緊急対策をとりまとめました。今年度は、シカの捕獲目標を2万頭から3万頭に1万頭増やしたところです。これまでのところ天候不順の影響等により捕獲が目標どおり進んでおりません。そこで追加した1万頭の捕獲を県が主体的に進めることといたしました。
2 具体的には、シカ捕獲目標頭数が多い6県民局に「シカ捕獲対策チーム」を設置して捕獲体制を強化するとともに、猟友会の協力を得て「シカ捕獲専任班」を編制しました。平日においても計画的に捕獲活動を行い5千頭を捕獲することとしています。
3 また、狩猟者が行う狩猟期間中のシカ捕獲に対してインセンティブを喚起するため、狩猟者ごとに捕獲頭数に応じて支給する報償金について、具体的には3~5頭目は1頭あたり2,500円、6~10頭目までは3,500円、5頭目ごとに、このように1頭あたりの単価を1,000円ずつ引き上げまして、21頭目以上は6,500円の報償金を支給する仕組みとしています。いわば捕れば捕るほど単価がアップする方式でありまして、これにより狩猟期間中の捕獲頭数を前年度比4,000頭増ということを図ってまいります。また、シカ大量捕獲用わなによる捕獲を行う集落に対してエサ代の実費支援を行うなど、対策を強化しておりまして、これらにより3万頭の捕獲目標の達成に向けて全力で取り組んでまいります。
4 さらに、サル対策として、篠山市など特定の市町に定着しているニホンザルの追い払いを効果的に実施するための「サル監視員」を設置することとしています。また、イノシシ対策として、狩猟期間を延長するとともに、捕獲用の箱わなの整備に対して支援することとしています。
5 これらの緊急対策と合わせまして、対策の担い手づくりとして、狩猟免許講習会の開催支援や狩猟現地体験会の実施などによる狩猟後継者の育成・確保、地元住民を対象としたわなによる捕獲技術の講習会の実施、野生動物を寄せ付けない集落環境整備を指導する集落リーダーの養成、こういった取り組み、対策の担い手づくりを総合的に進めることによりまして、市町ともども有害鳥獣対策を積極的に進めていきたいと考えています。
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