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活動報告ブログ - 2009年3月

2009年03月16日(月)

イチャモンとは

皆さん、こんにちは。
 さて、昨日の500人委員会全県セミナーでの記念講演について、紹介したいと思います。

 講師は 小野田 正利 阪大大学院教授。「講師は、聞き手の顔を下に向かしてはダメだ」という方針の下、資料は配るが読ませない。「パワーポイントは薄暗くて眠気を誘う」「暗い課題の講演は、明るい服装で」「視線は常に講師に」と言う事で、当日は黄色のジャケットに、坊ちゃんばりの赤シャツ。ズボンはブラウンでしたが、私としては緑か青にして頂きかった。その出で立ちなら、歩く交通安全教室もできるはず。

 講演依頼数が、年間800以上(実際の公演回数は150/年が限度だそうです)。その6割が学校の先生関係。3割がPTA関係。残り1割は教育関係外。と、見るからに興味をそそられる、大変エネルギッシュな先生でした。

 演題は『学校と保護者・地域のいい関係づくり』~学校へのイチャモン(無理難題要求)のウラにあるもの~と、このイチャモンという表現に、聴きやすさを感じるところですが、実はこのイチャモンの意味が深い。

 いわゆる『モンスターペアレント』のお話でした。しかし、小野田先生は、この『モンスターペアレント』という表現を強く否定されました。その意図するところは、『モンスター』すなわち『怪物』=『人にあらず』=『人格の否定』であると。
 先生曰く「アメリカでの『モンスターペアレント』は、虐待等を受けている子どもから見た表現であって、アメリカで言われる『ヘリコプターペアレント』の方が意味的により近い」と。

 『モンスターペアレント』。親は怪物ではなく、人格もある。そこで、『イチャモン』登場。『イチャモン』は、その人の行動や意識の問題で、『人格』そのものを否定するわけではない。『人格否定』から始まれば、話し合いの入り口にも立てない。受け手側に、いわゆる『聞く耳も無い』。「あの親は怪物だ」「怪物とは話も出来ん」そこで悪循環が起こりだす。

 『イチャモン』を言ってくるには、その背景に必ず原因がある。原因は様々で、学校以外のところに起因する事も多く、例えば家庭や、職場、親同士の人間関係等々。その背景にあるものを見出さなければ何も解決しない。然し時間がかかる。
 今の学校に、それだけの体力も体温も無い。時間的な余裕、人的な余裕もない。必然的に「トラブルは避けよう」となる。自ずと後手後手になる。

 学校現場だけではなく、社会全体がそのようになりつつある。
 右肩上がりの社会で、物は「足し算」こころは「引き算」を繰り返してきた。
 物は「引き算」こころも「引き算」では、崩壊に突き進むだけですから、まさしく『こころ豊かな人づくり』。

 大変参考になった記念講演でした。

onoda
【小野田 阪大大学院教授】

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