市名について2
皆さん、こんにちは。
過日、ここでもふれた、篠山市の広報誌が各戸配布されました。
それには、「篠山市の市名を考える」と題して、見開き2ページにわたり、『市名改称問題検討プロジェクトチーム』の報告書をもとにした、特集が掲載されています。
この記事からは、明確な方向性、ビジョンが提示されていない状況下で、単純に比較できない問題を、プロジェクトチームの市職員さんが、最大限公平に扱おうと努力された様子が感じ取れ、大変気苦労をされた様子が伝わってきます。
この問題はしっかりと議論されることが重要で、その議論の途中で、新たな発見や気づきが生まれ、それがまた、篠山発展へのエネルギーになるんではないかと思い、27日に開かれた『丹波篠山観光協会総会』で、挨拶の時間を利用して、一石を投じてみました。
その内容をここに開示します。また、議論の材料にしてください。
丹波篠山観光協会での挨拶
『急(せ)いては事をし損ずる・・・篠山市の市名変更について』
この問題は、単なる感情論だけで終わらせてはなりません。
しかし、今のままで事が進めば、
「現在の市の財政状況で、そんなことをしている場合か」
「旧町時代の対立が再燃する」
「丹波市への仕返しだ」
と言った、従来からの感情論が先に立ち、過去または現時点しか見ずに、極めて限定された論議の下で「篠山市」に名称が固定化され、更には「市名変更」の議論さえも封印されてしまうのではないかと懸念しています。
私は、「政治家の一番大きな使命は何か」と問われれば、それは「未来への責任」だと答えます。
私は、この問題は、将来この地域を担う人々の生活にまでも大きな影響を及ぼすことになると考えています。
ですから、この大問題が将来をも見越した議論の展開がなされないまま終息し、封印されてしまうことになれば、未来に責任を持つ政治家として、私自身、その未来に後悔を残してしまうことになります。
一番大切なのは、「市名を変更する・しない」といった、それぞれの立場から、将来を見据えた議論を展開することだと思います。
今のままでは、わずかな資料だけで、市民各自にてんでんばらばらに議論させ、意思決定までをも、その拡散した議論の結果に委ねてしまいかねません。
そこで、この問題に関心が高く、観光業を生業とされておられる、観光協会の皆さんに、この時間をお借りいたしまして、私の考えの一端を紹介したいと思います。
今から30年前、外から見た「丹波篠山」のイメージは、まさに田舎の代名詞でした。どちらかと言えば、「田舎もん」と小馬鹿にするような意味も含めて。
この頃に篠山に残った人は、長男としての跡取り等、宿命的土着民がほとんどです。
社会全体が“向都離村”的な価値観にどっぷりつかっていました。
最近は、どうか。
様々な社会、経済情勢の変化の中で、従来の価値観は大きく転換してきています。
この様な社会の潮流と合わせ、篠山の伝統や文化、風景、環境など、特にクオリティーの高い分野の情報発信に、観光協会はじめ、関係者の皆さんが、先を見越して力を入れられた結果、いまでは、丹波篠山に対するイメージもプラスの方向へと大きく変わってきています。
篠山の可能性に魅力を感じ、自らの意思でこの地に残る、選択的土着民も増えています。
また、このイメージは丹波地域全体のものとして、定着しつつあります。
来るべき地方分権時代を見据え、広域連携はもちろん大切です。
しかし、その中でもさらに際立った、確固たる“核となる地域”をつくっていこうとすると、イメージに沿った街づくりをしていかなければなりません。
客寄せに展示してある料理と、実際に出された料理が大きく違っているような店には、客は二度と来てくれません。
イメージ通りの、いやイメージ以上の商品の提供に努め、日々研鑽することは言うまでもありません。
先ほども述べましたように、「丹波篠山」の全国的な知名度、イメージの向上と相まって、広く知られるようになった“丹波ブランド”。
この“丹波ブランド”に埋もれることなく、“丹波篠山ブランド”の付加価値、その優位性を保持し続けるためには、日々の努力とともに、「丹波篠山=篠山市」の全国周知は欠かせません。
そのPRも積極的に展開していかなければなりません。
「それと市名がどう関係するんだ」と思われる方もいらっしゃるでしょうし、「篠山という名前をもっともっとPRすればいいのではないか」と仰る方もいると思います。
しかし、そのためには相当の経費が掛かるでしょう。すでに、経費を掛けてブランド力向上に努力されている団体等もあります。
「丹波篠山」にはすでに、かなりの営業力があるのです。
これから全く新しい名前を付けようとしているのではありません。
名称を「丹波篠山市」にすることによって、駅名やインターチェンジ名も変えやすくなりますし、全国の地図は、我々の持ち出しが一銭も無くても勝手に書き変えてくれます。これら波及する効果は、測り知れません。
更には、多くの市民に無意識のうちに営業活動をしてもらうこともできます。
例えば、市民一人ひとりが出される年賀状だって、『丹波篠山』の全国周知の広告になります。
各人の名刺もそうです。
住所が記載されるもの全てが『丹波篠山』のPR、すなわち地域営業のツールになります。
皆さんにとって、さらに皆さんの生業にとって、このことがマイナスに働くとは思えません。
良い面、悪い面を含め、地域間競争の激化が予想される地方分権の時代、京丹波も含めた丹波地域が広く連携していくことは、当然です。
しかしながら、基礎自治体は、それぞれが育んできた“資源”をしっかり磨き、また、しっかりと守ることにより、お互いが切磋琢磨していくことも重要です。
将来において、この地域を持続的、安定的に発展させるためには、「丹波篠山」のクオリティーをさらに磨き上げる必要があります。
教育も農業も商工業も、老いも若きも、市民生活や市民の日常そのものも、皆がこの方向に向けていかなければなりません。
そうすれば、自ずと地域のカラー、イメージが安定し、そこに魅力を感じる人・モノ・カネが集まります。
ここに集まる人・モノ・カネは共通の価値観のもとでの集約です。
その人は、その価値観をさらに高めるため、しっかりと協力してくれるでしょう。
そのモノは、その価値観をさらに高めることになるでしょう。
そのカネは、その価値観をさらに高める為の生きたお金になるでしょう
こう言った相乗効果が、わが故郷の地位を確固としたものにし、絆深く、変化にも対応しながら生き残ってきた、日本の社会をさらに後進へとつなぐ事ができるのではないでしょうか。
市名変更のための経費は市だけで約6,000万円必要との報告があります。
市の財政状況を考えると、「今すべきことか」との声もあって当然です。
ですからしっかりとした、ビジョンが必要なのです。
『急(せ)いては、事をし損ずる。急がば回れ。』
「篠山市」か「丹波篠山市」か。
将来この地を担う人々にとって、どちらを残せば、彼らの“利”に繋がると考えるのか、真摯な議論が展開されることを望みます。
以上が、挨拶全容。
付け加えますと
『松下電器産業株式会社』は、『パナソニック株式会社』に、何故社名を変えたのか。
更に付け加えますと
私にこのようなアドバイスを下さった方がいます。
『中身が本当の意味で「丹波篠山」になったとき、「丹波篠山市」を名乗ることができると思うのです。
多くの丹波地方の自治体が「さすが!」と唸るようなまちづくり(ブランド確立)ができてこその市名変更かと。』
やっぱり、この問題に関しては、最初に明確なビジョンの提示が必要だ。
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